きゅうくらりん究極考察〜歌詞・PVに隠れた本当の意味

芸術

リリースされてから、その可愛らしい歌詞と斬新な曲調で、爆発的に再生回数を伸ばした「現代の神曲」きゅうくらりん

作編曲・動画はいよわさんというボカロPさん、歌唱は近年人気が出てきたソフト「可不」さんが担当しています。作詞、作曲、動画の作成まで全ていよわさんが行っているのがすごいですね。

Twitter上でも「なんかわからないけどクセになる」「気づいたら聴きに来てしまう恐ろしい曲」「歌詞が二重の意味を持っていてすごい」「本当の意味に気づいて鳥肌立った」などの声が散見され、人気歌い手さんたちによる「歌ってみた」も多くアップロードされている様子です。

今回はそんな謎が多い人気曲「きゅうくらりん」の歌詞・PVについて徹底的に考察。

可愛らしい絵柄と歌詞に隠された、2重の意味をわかりやすくお伝えしていきます。

《1番》主人公の切ない恋心?

明るい歌い出し

まず、きゅうくらりんの主人公は、高校生くらいの少女です。PVでは、短めのボブに色白の肌、通学途中のようにリュックを背負った姿で描かれています。

うるさく鳴いた 文字盤を見てた

きっときっと鏡越し 8時過ぎのにおい

ピンクの植木鉢の ぐちょぐちょした心のそばに 大きく育ったもの

結ばれたつぼみが こんなにも愚かしい

歌い出しでは、パンを食べる主人公やリュックの紐を引っ張る主人公、走り出すような体勢の主人公などがテンポよく画面に映し出され、楽しく明るげな女子高生の生活という印象を受けます。

(この時一列に並んだ主人公の絵は7人です)

この部分の「きっときっと鏡越し 8時過ぎのにおい」という歌詞からは、支度をする主人公が遅刻しそうであることが窺われますね。

しかし、PVの中で目覚まし時計の針は決まって7時5分を指しているので、きっと学校に行きたくなくてゆっくり用意をしているのでしょう。

そんな微笑ましい光景ですが、次の「ピンクの植木鉢の ぐちょぐちょした心のそばに 大きく育ったもの」「結ばれたつぼみが こんなにも愚かしい」から雲行きが怪しくなってきます。心なしか可不ちゃんの声も沈んでいるような気がしますし、PVでは主人公が悲しげに俯いているシーンです。

ピンクといえば女の子やハート、恋というイメージですよね。

植木鉢=育つものを植える場所、ということで、この場合のピンクは恋心を示しており、主人公が誰かに大きな恋をしているということがわかります。

ですが、ぐちょぐちょした心=複雑な心であることから、あまりその恋は歓迎できるものではないようです。「愚かしい」とまで言っていますね。なぜなのでしょうか?

《サビ》きゅうくらりんの意味とは?

ああ 化石になっちまうよ  ああ 取り繕っていたいな

ちゃんと笑えなきゃね 大した取り柄もないから

空っぽが埋まらないこと 全部バレてたらどうしよう

ああ あなたの右どなり 私 きゅうくらりん

このフレーズからは、恋心が確固としたものになりそうなこと(化石=生物が死骸となって地層の下に永く眠っているものなので、そのくらい永くて確固とした想いを抱く、と解釈できます)

そして、その想い=恋心を悟られないように隠したいことが読み取れますね。PVのほうでも、主人公が頬を抑えてうっとりしつつ、悲しそうに眉を顰めている様子がわかります。葛藤しているのでしょう

ここでは、主人公の自己評価が低いこと、うまく笑えないこと、そしてそんな自分を嫌っており、それが相手にバレないように頑張っている様子が読み取れます。作り笑いをするのもそのせいなのですね。

ああ あなたの右どなり 私 きゅうくらりん

大サビですが、初めて恋心の相手が「あなた」として出てきたこと以外はまだよくわかりませんね。謎のフレーズ「きゅうくらりん」とは何なのでしょうか?曲名ですし大事なことのようですが…

《2番》徐々に不穏な空気が強まる

ネガティブな歌詞

ここからは2番です。間奏中PVでは、目覚まし時計を掴む動作が7回繰り返されます

例えば今夜眠って 目覚めたときに

起きる理由が ひとつも 見つからない

朝が来たら わたしは どうする?

こちらに背を向けて、ベッドに横たわる主人公のイラストとともに流されるこの台詞のポイントは「朝」です。執拗に繰り返される寝起きのシーン、目覚まし時計や1番の歌詞からも、この主人公は朝に憂鬱な気分がひどくなり、起きる理由=生き甲斐がなくなるのを恐れている様子が読み取れます。

うるさく鳴いた 文字盤を見てた
一歩一歩あとずさり 「また明日ね」とぽつり
喜びより 安堵が先に来ちゃった
思い出西日越し うつるこまかなヒビが
こんなにも恐ろしい

「うるさく鳴いた 文字盤を見てた」と1番と共通の歌詞が流れた後、「一歩一歩あとずさり 『また明日ね』とぽつり」という台詞が出てきます。

後ずさって、何かを明日に延期しようとしているあたり、主人公は相手への恋心を前向きに捉えられてはいないようです。1番での気持ちと変わっていませんね。「喜びより 安堵が先に来ちゃった」という直後の歌詞もそれを象徴しています。

「思い出西日越し うつるこまかなヒビが こんなにも恐ろしい」

どんどんと不穏な雰囲気になってきすね。相手との関係に亀裂が入っていることを実感し、恐怖しているのが伝わってきます。また、PVでは1番のサビと同じように主人公が7体並ぶのですが、ここでは1体だけ画面に収まっていて、その上に下半身だけの主人公が6体いるような構図になっています。(この構図の意味はのちにわかります)

ああ あなたが知ってしまう ああ 取り繕っていたいな

ここはわかりやすいですね。自己肯定感の低い主人公は、自分の作り笑いや「ぐちょぐちょした」性格を知られてしまうのが怖くて必死に隠そうとしています。

ちゃんと笑えなきゃね 大切が壊れちゃうから

幸せな明日を願うけど 底なしの孤独をどうしよう

いつも作り笑いばかりの主人公ですが、それでうまくいっていた部分もあるのでしょう。しかしそれを維持するためには作り笑いも保たなくてはならない、いつまでも孤独な主人公の気持ちがひしひしと伝わってきます。

もう うめき声しか出ない わたし ぎゅうぐらりん

きゅう、ではなく、ぎゅうになっていることからも、主人公がかなり消耗している様子が伺えます。隠さなくてはならない恋心に、朝になって新しい1日が始まることへの怯え、何よりそんな自分への嫌悪でいっぱいいっぱいになっているようです。PVのイラストのほうでも、主人公が目を覆い髪を引っ張って苦悩している様子がわかります。

間奏

と、ここで間奏なのですが、ベッドに寝ている主人公のイラストが波打ち、どんどんと歪んでいきます。まるで涙で滲んだ視界のような様子が印象的ですね。

《3番》主人公の辛さ

間奏が終われば、いよいよクライマックスの3番に突入です。

ああ 虹がかかっている空 きれいと思いたくて

焦がれては逃げられないこと みんなにはくだらないこと

もう どうしようもないの わたし きゅうくらりん

美しい虹ですらもはや綺麗とは思えなくなり、(くだらない=普通の人は気にしないであろう)さまざまなことに追い詰められているのがわかります。そんな自分を嫌悪し、どうしようもない人間だ、と自虐しているのですね。

PVでも、今まで以上に絶望した表情で俯き、手のひらの上のヘアピン(朝の支度)をじっと見つめている様子が描かれます。これまで以上に朝と、そこから始まる作り笑いの1日に絶望しているのでしょう。

そばにたぐりよせた末路 

枯れ落ちたつぼみが こんなにも汚らわしくて いじらしい

これは、1番でもつぼみに例えられていた恋心のことですね。枯れ落ちたということは、主人公の恋は実らずに終わったということでしょう。振られたというよりは、自分の気持ちを悟られる前に引いたという感じがします。今までの歌詞からも、主人公は何かに怯えているようでしたから。

ああ 呪いになっちまうよ

ああ 『あきらめた』って言わなくちゃ 頭の中で ノイズが鳴りやまないから

空っぽが埋まらないこと 全部ばれてたらどうしよう

ああ あの子の言うとおり 終わりなんだ

この場面では、画面が上下逆転したように主人公が上からぶら下がり、涙を滲ませながら袖口で拭う描写があります。相手への恋心が重すぎて呪いにまでなりそうで、諦めたくても諦められない辛さが伝わってくるようです。

「空っぽが埋まらないこと 全部ばれてたらどうしよう」は1番と共通ですが、「ああ あの子の言うとおり 終わりなんだ」は初めて出てくる台詞です。あの子、が恋敵を指しているのか恋の相手、もしくは自分自身を指しているのかはわかりませんが、「終わりなんだ」と現実を突きつけられて泣きながら作り笑いをしている主人公が画面には映し出されていました。

《大サビ》とんでもない結末を迎える…

ここからは最後の大サビです。

ああ 幸せになっちまうよ

今までの暗い歌詞とは違い、唐突に「ああ 幸せになっちまうよ」から始まるこの部分では、主人公が恋の相手と抱きしめ合い、縋りつきながら呆然として涙を流す様子がPVで描かれます。

ああ 失うのがつらいな

全部ムダになったら 愛した罰を受けるから

両思いになっても恐怖心は変わらないということでしょう。今度は自分の本性を知られることではなく、相手の心が離れていき自分が傷つくことを恐れているのだと解釈できます。

ひどく優しいあなたの 胸で泣けたならどうしよう

PVで抱き合っているシーン通りの歌詞が出てきました。しかし「どうしよう」とは、まるでその状況を仮定しているような言葉です。両思いになったはずなのにどういうことでしょうか。

よくよく見れば、PVで主人公はしっかり色付けされているのに、相手のほうは影のように一色で塗りつぶされています。まるでそこに存在しているのも、両思いになったのも主人公の妄想のような描写です。

「ちゅうぶらりん」の本当の意味は…

最後 見たのはそんな夢

わたし ちゅうぶらりん

ラスト2行の歌詞でとんでもないどんでん返しが来ました。両思いになって抱きしめ合っているのが最後に見た夢=妄想ということは、主人公はどうなってしまったのでしょうか?

確かに「ああ 幸せになっちまうよ」は、それまでの状態の中に唐突に現れた両思いの歌詞でした。そこからが主人公の願望だったと捉えれば辻褄が合います。そして、主人公の「最後」の状態である「ちゅうぶらりん」とは?

①ホワイトな解釈

ここで、「ちゅうぶらりん」を「今までの不安定な恋の状態が続くこと」と捉えるのがホワイトな解釈です。この場合、きゅうくらりんは高校生の甘酸っぱい恋の様子を描く歌ですね。

しかし恐ろしいことに、きゅうくらりんはこんな可愛いだけの歌ではないようなのです。

②ブラックな解釈《鬱病》

もう1つのブラック解釈については、作者のいよわさんの趣味が関係しています。いよわさんは「どきどき文芸部」という恋愛ゲームの大ファンで(ご本人様がツイートしている)このゲームのキャラクターが「きゅうくらりん」のモデルではないかとネット上で囁かれたのが解釈の発端だそうです。

「どきどき文芸部」は「ひ〇〇しの鳴く頃に」のような病み要素が強いメンヘラ恋愛シュミレーションゲームです。特にきゅうくらりんのモデルになったと言われている「サヨリ」というキャラクターは、プレイヤーがどの選択をしても自殺してしまうので究極の鬱キャラと言われ、多くのプレイヤーを阿鼻叫喚の渦に叩き込んで来ました。

ゲーム内でのサヨリはうつ病を患っており、恋愛ゲームの主人公に病気のことを知られるのを極端に恐れていました。そして恋心や自己嫌悪、友人との恋の鞘当てに疲れ果て、彼の胸にしがみつき泣いた翌日に首吊り死体となって発見されます。

…どこかで見たようなあらすじではないでしょうか?

ブラックな鬱解釈では、きゅうくらりん=サヨリの気持ちを描いた歌であるという考えが一般的です。

朝学校に行く気になれず嫌々用意をしていたのは、うつ病の症状の1つである、朝のセロトニン(幸福を感じるホルモン)不足だと考えられます。また、「文字盤を見てた」という歌詞で、「起こされた」のではなく、アラーム以前から「見ていた」ことから、不眠でなかなか眠れず朝まで起きてしまっている状態を指しているのではないでしょうか。(不眠はうつ病の頻発症状です)

「空っぽが埋まらない」や「底なしの孤独をどうしよう」などの歌詞、「虹がかかっている空」を綺麗と思えないことからも、主人公のうつ病を裏付ける根拠が見つけられます。「頭の中でノイズが鳴り止まない」は、うつ病の症状の1つである耳鳴りではないでしょうか。

また、ラスト直前の「ひどく優しいあなたの 胸で泣けたならどうしよう 最後 見たのはそんな夢」は、サヨリが自殺直前に想い人に抱きつき涙を流したことと対応していると考えられるでしょう。

そしてこの解釈の何よりの根拠は、ラストの歌詞「わたし ちゅうぶらりん」にあります。

ゲーム内でサヨリは、苦悩の末に首を吊るという方法で死んでしまいます。首を吊ると身体は宙に浮き、「ちゅうぶらりん」になるのです。と、いうことは主人公は最後…

ラストの歌詞で主人公の自殺を表している、という恐怖の解釈ですが、残念ながらこれを裏付ける根拠がPVにもあります。

最初の主人公がたくさん並ぶ場面(1番)では、全ての身体が地に足をつけていました

しかし次の同場面(2番)では、1体以外地に足をつけておらず、残りの6体はちゅうぶらりんになっているのです。まるで首を吊っているように…

さらに、その場面の足の動きだけを切り取って重ねてみると、主人公が宙を蹴り上げるようにバタバタもがいていることがわかります。首を吊った時になる身体の動きです。

ということは、曲の題名でもある「きゅうくらりん」とは、単なる心情の描写ではなく、「きゅうっと首を絞めてくらりと死んでしまう」ということなのではないでしょうか?最後の歌詞で鬱に叩き落としてくるくらいですから、そうも考えられます。

考察まとめ

まとめ

  • きゅうくらりんはサヨリがモデルなのではないか
  • 高校生の可愛らしい恋愛と、最後に自殺するような暗い恋愛の2通りの解釈ができる
  • 暗い解釈の方では、うつ病を患った主人公が全てに絶望し首を吊って死んでしまう
  • きゅうくらりん、は心が苦しい状態の他に、首を吊った時の苦しさも表している
  • 主人公が7人並ぶ・時計が7個現れるの

おまけ解釈

最後のおまけ解釈ですが、歌詞としては「ちゅうぶらりん」つまり自殺で終わるこの曲、実はPVには続きがあるのです。

3:33のところ(終了3秒前)に、また目覚まし時計が出現し、主人公の手がにゅっと伸びてきてアラームを止めます。ここで本当に動画終了、となるのです。え、主人公生きていたの?!と驚くシーンでもあります。

この、主人公が生きていた可能性も残しての終わりかたはどういうことなのでしょうか。ゲームの方ではどんなに頑張っても自殺エンドだったサヨリの、壮大な二次創作での救済とも言えますし、視聴者に解釈の余地を残しているようにも思えます。

結局エンディングは、私たちの想像力に任せる、ということなのでしょうね。

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