この記事を読んでらっしゃる方の多くは、生まれたての子猫を拾ってあたふたしている状況だと思います。
生まれたての未熟児を成猫にまで育てた筆者が、前置きなしで子猫の処置についてお話ししますね。
①動物病院が開いていたら連れて行く
動物病院は捨て猫の強い味方です。特に子猫はすぐ死んでしまいますから、一刻も早くミルクをあげ、保温するべきです。生まれつきの病気を持っている可能性もあります。
しかし、ミルクのあげかたひとつ、保温の仕方ひとつにもコツがあります。その方法を知ってその後も育てるには、専門の獣医さんに見せるのが最も効果的でしょう。
②急いで保温をする
もし、動物病院が開いていなければ、急いで保温をしてください。
生まれたての子猫は非常に弱い存在です。自分で体温調節ができず、お母さん猫の体温がないとすぐに冷え切って死んでしまいます。
保温は一刻を争います!
私は60度くらいの温水を入れた1Lペットボトルを2本、タオルで包み、毛布で包んだ子猫の周りに配置していました。貼らないカイロでも代用可能ですがたくさん必要ですし、温度の調整がしにくいため、ペットボトルがおすすめです。
一匹の場合
温水(人肌より熱い程度)ペットボトルをタオルにくるんだら、子猫の方も毛布(ブランケットなど、暖かい素材のもの)に包みます。そして段ボール(保温に優れた素材です)に毛布ごといれ、ペットボトルも低温やけどにならない程度にくっつけて段ボール内に入れてください。
複数匹の場合
1匹でなく数匹いる場合は、段ボールに毛布を敷き、鳥の巣のように真ん中を窪ませ側面を分厚く、高くするようにすり鉢状の「巣」を作ってください。2つの側面に温水ペットボトルを配置し(温度勾配ができるようにしています)真ん中の窪みに子猫たちを入れます。その上から、通気性がよい生地で覆いをします。子猫が窒息しないように、一部だけ開けておいてあげましょう。
どちらの場合でも、温水ペットボトルは最低1時間に1回取り替えが必要です。冬場なら30分に1回が目安でしょう。
③ミルクを与え方
ミルクを用意する
子猫の主食は、子猫用ミルクです。決して人間が飲む牛乳を与えないでください。
夜間などで、どうしても子猫用粉ミルクが手にはいらない時だけ、牛乳を温めて少しずつ与えましょう。そして朝になったらすぐに動物病院に連れて行ってください。獣医さんが粉ミルクと哺乳瓶を売ってくれますし、診察もしてくれます。
子猫用ミルクの多くは缶に入った粉ミルクです。獣医さんに勧められたのも、液体タイプでなく粉タイプでした。ミルクを作る時は、缶の指示に従って、粉を38℃くらいのお湯に溶かし、子猫用哺乳瓶に入れて与えましょう。
夜間などで子猫用の哺乳瓶がないときは、シリンジで代用してください。シリンジがなければスポイト、スポイトもなければ苦肉の策です。布(誤嚥に注意!!)に45℃(冷えるので熱めにする)くらいのミルクを含ませ、口元に持っていってあげましょう。
元気な子猫なら吸います。吸えない時は、熱めのミルクを口に一滴一滴垂らしてあげましょう。液体が気道に入らないよう、ゆっくり慎重に垂らしてください。一気にやっては溺れてしまいます。
ミルクを与える前に
ミルクを与える前に、排泄と体重測定をさせましょう。
生まれたての子猫は小さな体です。ミルクを飲む前に余分なものを出しておかないと、すぐにお腹いっぱいになって成長できなくなってしまいます。そして1人では排泄ができないので、放っておくと弱って死んでしまいます。
排泄の手順は以下のようなものです。
- 鼻セレブくらい柔らかなティッシュを用意する
- ティッシュにお湯(35℃くらい)を含ませる
- 子猫の局部を、優しくトントン、とティッシュで押してあげる(うんちもおしっこも両方やる)
- 出なければゆっくり撫でるようにティッシュを動かしてみる(けして乱暴に拭かない)
- おしっこやうんちが出始めたら、最後までティッシュで受け止めてあげる
- 以上の手順を、子猫の体を冷やさないよう手早くやる
毎食前にこれをするので、最初の頃は1日に何十回と面倒をみる羽目になります。ですが、決して乱暴には扱わず、しっかり排泄の世話をし、出たうんちやおしっこは何日の何時に出たか書き留めておきましょう。子猫の状態が分かりやすくなります。
体重測定の手順は簡単です。
秤に子猫をのせ、正確な体重を測定します。何日の何時に〇〇ちゃんは△gだった、というふうに、これも同じくメモをしましょう。
いざ、ミルクを与える
いよいよミルクを与えますが、ここで命に関わる注意点があります。
子猫にミルクを与えるときは、子猫をうつ伏せ(背中が天井を向いている)状態にしてから哺乳瓶を差し出しましょう。
人間の赤ちゃんはお腹が天井を向いている状態でミルクを飲むのですが、それを猫にやってしまうと、ミルクが気管に入って死んでしまいます。
必ずうつ伏せの状態でミルクをあげてください。
いよいよミルクをあげる時ですが、哺乳瓶の先のゴムの部分を少し広げる(鋏などで0.3mmほどの切れ込みを入れる)と力のない猫でも吸いやすいですよ。
そして哺乳瓶の注意書きに書かれていると思いますが、哺乳瓶の蓋はきゅっと閉めず、ぎり漏れないけどもう少し緩めたら絶対漏れる、くらいの状態に保ちましょう。
蓋の閉め具合がゆるくないと子猫の力が足りず、吸えなくなってしまいます。
最後に、何時何分に誰がミルクを何ml飲んだかはおしっこうんち体重と同様、必ずメモしてください。ミルクに吸い付かない子は緊急性が高いです。急いで受診をお願いします。
※夜間やっている動物病院がなく、どうしても受診できない場合、ミルクを入れたシリンジを口の中へ差し込み、ゆっくりとミルクを口の中に押し出してください。1滴1滴でないと気道が塞がるので、子猫を休憩させつつ、口からミルクが溢れることのないよう、ごく少量ずつ与えていきます。この状態の子猫は重篤なため、5分に1回、少しずつ授乳していきましょう。
10分に1回は様子を確認する
以上の世話を繰り返し、10分に1回くらい子猫の様子を見てください。
以上の世話を、子猫が大きくなるまでひたすら繰り返していきます。
保温は、生後3週間は必ず必要です。毛布の内部を、暑すぎず寒すぎずの30℃前後に保ってあげましょう。暑いところと暑くないところを作って、ある程度移動できるようにしておくと安心ですよ。毛布の内部に手を差し入れて、ホッとする暖かさが正解です。
保温のための温水ペットボトルは、1時間に1回は冷めないように変えてあげてください。毛布の素材によって、最適な温度を試してみてくださいね。
排泄は授乳前にかならず行います。これも3、4週間は必要です。
授乳は、最初は猫それぞれの頻度でスタートしてあげてください。
グイグイ飲む元気のいい子は、粉ミルクの缶に書いている指示に従い、最初は30分に1回の授乳でもいいでしょう。しかしほとんど飲めない子(うちの子はぐったりしてほとんど飲めませんでした)は、最初から5分に1回、10分に1回の少量✖️頻繁な授乳が必要です。とにかく獣医さんに連れて行って、授乳間隔と量の指示を仰いでください。
繰り返しますが、子猫を拾った以上人間の睡眠時間はグッと減ります。授乳、排泄、保温に加え、10分に1回くらい様子を見なくてはすぐに死んでしまいます。
しかしこんな頻度での授乳が必要なのは最初の5日間くらいなので、合間合間に眠りましょう。交代で世話するのもいいと思います。
まとめ
まとめです。
以下のポイントを改めて確認しておきましょう!
- 拾ったらすぐ保温!温水ペットボトルと毛布、段ボールを活用せよ
- 排泄は毎授乳前に
- 体重測定も授乳前に
- 哺乳瓶の蓋はゆるくする
- うつ伏せの状態で授乳する
- 排泄、体重、飲んだミルクの量はメモしておく
- 拾ったら速やかに獣医さんに見せる
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